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卵の混沌

陰陽の先に
 ↑ 猿夫さんの記事にトラックバックをつけました。

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イザナギとイザナミは混沌を掻き混ぜて天地をつくったという。
はて、混沌とはどんなもんかな?
と卵をお箸で掻き混ぜながら考えてみた。

ボオルの中はぬるぬる白身がどんより黄身をこっちにくんなと言わんばかりに弾きながら、それでも混ざり合っていこうとしている。
明らかに質感の異なったもの同士が無理やりに混ぜられて、決して溶解はしないながらも均衡化しようとしているのだ。

ここで、せっかく白身と黄身に分かれていたものを私はまた混沌に戻そうとしているのだ、なんて考えてみる。

いやまてよ、このまま混ぜ続ければ、また別の何某かが生成されるのかもしれない、
と妄想は飛躍する。


生クリームを泡立て続けたら、脂肪とたんぱく質に分離するよな。
そして脂肪に塩を入れたら美味しいバターのできあがり。

んじゃ、生タマゴを泡立て続けたら、また分離しないのかな。とアホな頭で考えてみる。


しかし、卵はなんぼ掻き混ぜても分離はしないのだ。これは、大気中の窒素や酸素や二酸化炭素やアルゴンの異物が取り込まれてしまうからで、このような ‘気’ を仲立ちにしてくっ付き合っちゃうのだ。もう離れないのだ。焼くしかないのだ。とアホなりにWikiで検索しながら考えてみる。



でも、生クリームはなんで分離するんだろう?
脂肪が多いと気を取り込まないのだろうか?

そういえば、卵ボオルに微量の油分が入っていると、卵は絶対に泡立たない。卵の場合は油が仲立ちを妨げるのだ。
反対に生クリームに水一滴でも混入すると、クリームは泡立たない。この場合は水分が仲立ちを妨げるのだ。
油と水。相反するもの。場合によってはどちらも必要なのかもしれない。



頭が悪いのでこれ以上考えるのはやめるけれど、
泡立て卵でつくった卵焼きはブワブワして食えたものじゃない。
卵は分離している状態が ‘目で確認できる程’ の掻き混ぜ加減で焼くのが一番好ましいのだ。

卵だってどうせ焼かれるなら好ましい状態で焼かれたいかもしれないし。

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父が体調を崩し、先月末から施設にお世話になっている。どこが悪いというわけではない。きっと老化による筋肉の衰えに夏の暑さが拍車をかけたのだと思う。ここ最近、父は自分一人で何もできなくなっていた。

施設では、せめて一人で立っていられるようになるまで、せめてスプーンが持てて自力で食事ができるようになるまでと、短くても1ヶ月は預かってくれるそうだ。

いや、父の体調云々というよりも、そんな父を私ひとりが介護していて、その私の形相を見た施設職員さんがこれではいかん、と考えて配慮してくれたのが本当のところかもしれない。


以前、友人のWさんが
『気が付いたら首を絞めていた、なんてことがないように、あんまり一人で頑張ったらいかんよ』

と言ってくれたのを思い出して、今回の施設での面談のときに冗談ぽく陽気に話したところ、職員さん達の眼差しが真剣だったのを思い出した。

その時は、おいおいちょっと待ってくれよと言いたかったが、やはりそういうことは起こるものらしい。

そのときの私の中に‘目で確認できる程’の何かがほの見えていたのかもしれない。

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おかげ様で、父不在のここしばらくの間、すっかり疲れもとれてホゲーとできている。
これは私自身が均衡化したのか分離したのか、それとも程よい混ざり加減になっているのか、自分でもよくわからないんだけど。


思えば父と母の混沌から私は生まれたのだなあ。


混沌なんだなぁ、とまた考えてみる。


父よ親不孝な娘を許してくれ。
来週は好物の桜餅持って行くからね。

by hiruu | 2010-08-08 21:51 | 日記