伯母のお手本

義伯母が百歳の誕生日を迎えました。
最近はめっきり足が弱くなり横になっていることがほとんどだそうですが、耳は達者、内臓だってどこも悪いところがなく、食事も椅子に座って自分で摂ることが出来ます。

良く出来た人らしく「姉さんは昔から賢い人やってな」とよくお姑さんから話を聞かされましたが、
伯母はその知性をひけらかすこともなく、物静かで、どこかふうわりとしていました。

10年程前だったか、伯母の部屋に置いてあった旧式の灯油ストーブが爆発し、家が全焼するという不幸がありました。伯母は大勢の家族といっしょに住んでいましたが、たまたまみな外出中で、家には一人でいたそうです。
持ち出すものも持ち出せなかったそうで、思い出の品はもちろん伯父の位牌も、長年住んだ家共々焼失してしまったそうです。

しばらくして私たちが見舞いに訪れると、伯母は以前と変わった様子もなくふうわりしていて、その穏やかな顔つきに対峙していると、逆にこちらが癒されるような、それでいて背筋が真っ直ぐ伸びるような、伯母はそのような人でした。

たまに訪問すると、うちの子供にお小遣いやお土産を持たせてくれるのですが、思えば出産祝いに始まって初節句、盆正月のお小遣と、いつも頂くばかりでお返しなどしたこともありませんでした。

この度ほんの少しですが、お祝いと寿ぎの手紙を贈らせてもらったところ、先日、従兄から内
祝いの品に添えられた、次のようなお手紙が送られてきました。

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 「立春」を迎え一挙に「春」が来たような暖かさですが、皆様にはつつがなくお過ごしのことと、お慶び申し上げます。

 さて、その「立春」を目前に控えた二月一日に、ホテル○○○○におきまして、母「○○○○」の百寿を祝う会を開催させていただきました。その節には過分なお祝いをいただきありがとう御座いました。
 厚く御礼申し上げます。

 当日は0歳から100歳までの親族五〇名が一堂に集まり、孫が中心になって「ワイワイがやがや」と大変盛り上がり、母もずいぶん喜んでくれました。
 当日の記念写真の縮小版ですが同封させていただきますので、ご笑納下されば幸甚です。

    二月四日
           ○○○○

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記念写真には白頭巾を被った伯母を中心に、直系が総勢50名集まっていました。また、

      『○○おばあちゃん百寿おめでとうございます
      子供6人 孫13人 ひ孫22人 平成21年2月1日』

と書かれていました。そこには失ったものがあったのかどうか、100年の歴史そのままがあるようでした。

私はこの一枚の写真とお手紙を拝見しながら、ふと「輝」という字が頭に浮かんだのですが、同時にまた何かを頂いてしまったような、そんな気持ちになりました。

ここに改めて、心からお祝いの気持ちを込めたくなって、こんな文章を書きました。
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by hiruu | 2009-02-13 01:22 | 日記