切腹

事の発端は覚えていないが、憤りがほんのちょっと高じて、おまけにたまたま勢いづいてしまって、自分のお腹をナイフで切り裂いてしまった。

なぜこんなことをしたのか。切腹なんぞ、ほんのちょっとの意思で、簡単にできるものだということを証明したかったのかもしれない。

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先日、パソコンを開いていたら、横でテレビがついていて、深夜ドラマみたいなのをやっていた。
お爺さんが、桜の木の下で

「はっはっはっ、おまえらの負けじゃ」

と叫んで切腹をしていた。‘さくら’という名の桜の木を守るための行為だった。

「さくらー、おまえの声を 聴かせてくれぃ」

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傷口をみると長く深く開いていて、これは切りすぎてしまったなと、少し後悔した。中から赤黒い角形の一片と透き通った袋状のものが出て来た。
この角形の一片はおそらく肝臓で、袋状のものは何か判らなかったが、袋の先には注射針が付いていて、袋の中にはヘアーピンが2本入っていた。

このままでは体が機能しなくなるんじゃないか、生きていく上でいろいろ不都合がでるんじゃないか、と思い医者に行った。


「中から出て来たもん持ってこなあかんがな。袋状のはどっちでもええけどな」

「え、でも袋状のは、体内に入った異物を隔離しておく大事な臓器じゃないんですか」


めんどうだったが、医者の言うとおり、忘れてきた臓器を取りに戻った私は、肝臓と袋状のものの他に、もうひとつの臓器が落ちているのを発見した。

それは薄い肌色で、二の腕程の太さと長さがあり、形は象の鼻をぶつ切りにしたようで、皺があり、短い毛がまばらに生えていた。穴こそ開いていなかったが、中心には骨らしきものが一本通っていた。

これは肝臓よりもっと大事なものなんじゃないか。なぜこれに気付かなかったんだろうと思った。


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覚醒が過ぎ、時計をみたらとんでもない時間だった。
やってしまった。

切腹がほんのちょっとの意思で出来るのなら、
ほんのちょっとの意思で、朝起きよう。
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by hiruu | 2009-01-28 01:55 | 残夢